皆さんお疲れ様です。今回は自己理解について述べていきます。
皆さんの中でこんな考え方をしてしまう方はいませんか。
- どうして自分に自信が持てないんだろう
- すぐに人を疑ってしまう
- 何かあるとすぐにネガティブになってしまう
このようなことで悩んでいる方はいるのではないでしょうか。人間誰しも悪い方へ考えてしまうことがあります。しかし、あまりにも過度に悪い方向に考えてしまえば、人間関係や自分の立場を悪くしてしまう恐れがあります。
心理学では、物事を悪く考える一つの原因として『悪法』という考え方があります。今回は『悪法』について次のような内容を伝えていきます。
- 悪法とは何か
- 悪法が生まれる原因
- 悪法の種類について
悪法とは
この記事では「無(最高の状態)」を参考文献にさせてもらいます。
続いて「無(最高の状態)」の著者について簡単に紹介させて頂きます。
1976年生まれ
慶応義塾大学SCF卒業後、出版社勤務を経て独立
10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューをする
ヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手掛ける
引用:『無(最高の状態)』より
この著書で『悪法』について、このように説明しています。
あなたの判断は物語の影響を大きく受け、あなたの行動を導く法律のような働きをしています。…中略…人間の行動がときに”歪んだ法律”によって動かされてしまうケースが多いのは前述の通りで、言うなれば私たちは”悪法”に人生を左右されているわけです。
引用:『無(最高の状態)』より
自身の中で独自の法律を作り、その法律によって行動が決められてしまう。これが『悪法』といわれるものです。
悪法が生まれる原因
心理療法において『悪法』が生まれる要素として次の三つが挙げられます。
- 幼少期のトラウマ
- 社会の世界観
- 日常の出来事
順番に説明していきます。
幼少期のトラウマ
幼い頃に起こった悪い出来事により、周りの信用できなくなってしまうことや自分に自信が持てなくなることによって『悪法』が生まれます。
社会の世界観
学校のテストでよい点数を取れないことによる劣等感や、病気による自身損失が起こることがあります。このような出来事がきっかけで、社会で生きていくことに不安を感じるようになり、その思考によって『悪法』を作りだされてしまいます。
日常の出来事
友人に裏切られる、よい行いをするが親がほめてくれない。日常の出来事の中で、辛い・悲しいといったマイナスな出来事がきっかけで生まれることがあります。
『悪法』は悪いものなのか
『悪法』が生まれるきっかけを見ていくと『悪法ってよくないものなのか』と感じてしまいます。しかし、全くの誤解で『悪法』は自分自身を守るための思考です。自身がマイナスな思考に陥った行動を『悪法』という法律にすることで、次は自分を守るため、その行動に移さないようにストップをかけているのです。
しかし、『悪法』はマイナスな思考や人間関係を悪い方向に持っていくこともあるため、コントロールが必要になることもあります。
では、どのようにして『悪法』をコントロールするか。
方法として『悪法』を理解し、自分自身で『悪法に行動を縛られている』と気づき、必要に応じて『悪法』を意識的に抑制することです。
意識していくため『悪法』について理解を深める必要があります。その行動に移せるよう悪法の種類について説明していきます。
悪法の種類について
コロンビア大学の心理学者ジェフリー・ヤングらは「スキーマセラピー」という心理療法を作り上げ『悪法』のパターンを18種類に分類しました。
- 放棄
- 不信
- 剥奪
- 欠陥
- 孤立
- 無能
- 脆弱
- 未分
- 失敗
- 尊大
- 放縦
- 服従
- 犠牲
- 承認
- 悲観
- 抑制
- 完璧
- 懲罰
それぞれ簡単に説明します。
①放棄
特徴
- 家族や友人、恋人等、親密な関係の人を信頼することができない。
悪法に至たったと考えられる原因
- 幼少期に親から十分な世話をされない
- 入院等で養育者と離れることが多い
主な行動
- 他人をコントロールしようとする
- 他者が離れることが不安なため、自分の感情や欲求を隠す
- 見捨てられることを恐れて、他人と関わらない
②不信
特徴
- 他人への不信を常に抱き続ける
悪法に至ったと考えられる原因
- 他人に騙された経験がある
主な行動
- 個人的なことを話さない
- 人の言葉を信じることができない
- こちらの情報を提供すると、他人に利用されると感じる
③剥奪
特徴
- 自分の感情的なサポートを他人から受けることができないと考えている
悪法に至ったと考えられる原因
- 子ども時代に養育者から満足なケアを受けられなかった
主な行動
- 自分の気持ちを他人と共有しない
- 誰かにとって自分が特別な存在であると感じたことがない
- 家族や友人に過剰な愛情を向ける
④欠落
特徴
- 自分に問題があり、誰よりも劣っていると考えてしまう
悪法に至ったと考えられる原因
- 幼少期の虐待や拒絶された経験がある
主な行動
- 批判や拒絶に過剰に反応する
- 物事を完璧にこなそうとする
- 親密な繋がりを避けようとする
⑤孤立
特徴
- 誰と一緒にいても孤独感を抱いている
- 自分に対する周りの評価をネガティブなものだと考えている
悪法に至ったと考えられる原因
- 幼少期に引っ越しが多かった
- 外見や障害でいじめられた
- 幼い頃、疎外体験があった
主な行動
- 他人を完全に避ける
- 集団の中でリラックスするためにアルコールや薬物を使う
- 閉じたコミュニティの中だけ威勢がいい
⑥無能
特徴
- 自分自身が信用できず、判断ができない
悪法に至ったと考えられる原因
- 幼少期に自分の意志で物事を決められない状況だった
主な行動又は思考
- 問題の発生を過剰に心配する
- トラブルが起きたときにどうすればいいかわからなくなる
- 人に助けやアドバイスを求めてばかりいる
⑦脆弱
特徴
- リスクがない状況であっても、危険ではないかと考えてしまう。
悪法に至ったと考えられる原因
- 心配性又は過保護な養育者の元で育った場合
主な行動又は思考
- 全財産を失う心配が強い
- 思考をコントロールできず、眠れないことがある
- 安心するために、何度も他人の意見を求めてしまう。
⑧未分
特徴
- 他人が求めるものや感情に目がいき、自分をおろそかにする。
悪法に至ったと考えられる原因
- ナルシストな親の元で育った人がよく見られる
主な行動又は思考
- 一人で過ごすことが苦手
- 両親やパートナーが不幸だと、自分も不幸になる
- 急に両親や親友に激怒することがある
⑨失敗
特徴
- 人生のあらゆる分野に対し、絶望感や抑うつ感を抱きやすい
悪法に至ったと考えられる原因
- 小さな頃、親や周囲の友人に努力を笑われる
- チャレンジしていることを批判される
主な行動又は思考
- 何かに挑戦すること避ける
- 今の人生に自信がない
まわりの人が自分より優秀に見える。
⑩尊大
特徴
- 他人より自分は優秀であると信じ、特別な権利があると感じている
悪法に至ったと考えれる原因
- 子供の頃、過剰に甘やかされた経験がある
主な行動又は思考
- 自分の間違いを認められない
- 何をすべきかを指示されることが許せない
- 他人からの否定や拒絶を受け入れられない
⑪放縦
特徴
- 集中を継続することが難しい
- すぐに別のことに意識が向いてしまう
悪法に至ったと考えられる原因
- 生後数か月で両親から育児放棄を受けた
- 幼少から青年期にかけ、長期のストレスを体験している
主な行動又は思考
- 後で後悔するような決断をすぐしてしまう
- 不快な感情を耐えるのが苦手
- 飲酒・喫煙・過食などの自滅的な行動がやめられない
⑫服従
特徴
- 自分の感情を表に出すことが苦手
悪法に至ったと考えられる原因
- ストレスが多い家庭で成長した人が抱きやすい
主な行動又は思考
- 争いや拒絶を避けるために他の人を喜ばせることが多い
- メンタルが傷ついても他人には言わない
- 他人を無視する
⑬犠牲
特徴
- 頼まれたことを断るのが苦手。
- 自分より他人を優先してしまう
悪法に至ったと考えられる原因
- 情緒不安や依存症を抱えた親に育てられた
- 子供時代、兄弟の面倒を見なければならなかった
主な行動又は思考
- 親しい人に頼まれたら断れない
- 人が苦労するよりも自分でやったほうが楽だと考える
- 自分のことは誰も助けてくれず、そのせいで過小評価されていると感じている
⑭承認
特徴
- 他人からの注目を過度に重んじる
悪法に至ったと考えられる原因
- 世間体や他人の視線を重視する家族で育った
- 子供の頃、人生の進路を親に左右されていた
主な行動又は思考
- 人にどう思われているか気になる
- 地位、外見、金銭、業績へのこだわりが強い
- 意見の違う人に感情的になりやすい
⑮悲観
特徴
- 人生の否定的な側面ばかり目が向いてしまう
悪法に至ったと考えられる原因
- 特になし
主な行動又は思考
- 間違った選択をすると大惨事になりかねないので意思決定がとても難しい
- 友人から悲観的だとよく言われる
- 落ち込みなくないので、いつも最悪の事態を想定している。
⑯抑制
特徴
- 行動と感情を押さえつけてしまう
悪法に至ったと考えられる原因
- 幼少期に周囲から怒りや悲しみを笑われた
- 両親からタンタンとふるまうように育てられた
主な行動又は思考
- 他人の感情を知るのが苦手
- ポジティブな感情を抑えつけてします
- 人前で自由に感情を表現できる人を見ると不快になる
⑰完璧
特徴
- 批判を避けるため高い基準を設定し、それを満たす努力をしなければならないと考える
悪法に至ったと考えられる原因
- 批判的な家庭で育った
主な行動又は思考
- いつも時間が足りないと感じる
- 常に何かしなければと感じている
- 望んだ基準を達成できないと恥を感じる
⑱懲罰
特徴
- 悪いことをすれば、罰せられるべきだと考える
悪法に至ったと考えられる原因
- 特になし
主な行動又は思考
- 悪いことをしたのに許された人を見ると腹が立つ
- 仕事がうまくいかないなら苦しみを感じるべきだと考える
- 他人からは批判的で判断力があると言われる
悪法は悪いものではない
以上18種類の悪法を挙げました。内容を見る限り、あまり良いイメージになるものはないように感じられます。しかし、元々悪法ができたきっかけは自身を守るためにできたものであるとも捉えられます。
しかし、悪いものではないとはいえ、すべて悪法に従って動くことが正解とは言えません。では、どのような対応が適切か。
それは、自分自身がどのような『悪法』を持っているか理解し、その考えや行動が適切か不適切かを判断することが必要です。
悪法を理解し、適切な行動を身に付ける
『悪法』は言わば、自分の考えや行動を見直すための知識の一つとも捉えられます。
今回の記事を参考に、自分はどの行動や思考に陥っているか見直し、その場でより適切な行動をとれるきっかげが増えればうれしいです。
おわりです。