皆さんお疲れ様です。夏の暑さが過ぎ、徐々に過ごしやすい時期が近づく季節になってきました。
今年の4月に入職した又は移動した方は働き始めて半年が過ぎようとする頃になります。そんな方や、その方々の上司にあたる方へ質問です。
雑談してますか?
仕事をしていく中、相手と会話をする際、次のようなことが求められることがあります。
- 相手に伝わりやすいよう、要点をまとめて伝える。
- 結果を先に伝えてから、それに至った仮定を伝える。
- 提案があれば、いくつか候補を提示する。
以上の内容をまとめて見ていくと、仕事の会話で最も必要なことは、いかに相手に伝わりやすく、且つ、短い内容で納めるかが求められています。
しかし、このコミュニケーション方法には一部の誤解が時折見られます。
その誤解とは仕事全般でこのコミュニケーションが必要であるという誤解です。よく言われる『ほうれんそう』は、このコミュニケーション方法が重要視されますが、場合によってこのやり方が裏目に出てしまうことがあります。その場面とは『雑談』を差します。実は仕事で雑談は仕事で必要ないと考える人もいますが、重要なスキルなのです。
今回は雑談の重要性と有効的な雑談方法について述べていきます。
雑談の重要性とは
参考書籍の紹介
今回は書籍『超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が気づける』を参考にしていきます。
五百田達成
作家・心理カウンセラー
株式会社 五百田達成事務所代表
米国CCE,Inc.認定,GDDFキャリアカウンセラー
仕事の『伝達する会話』と『雑談』
この著書は、雑談をうまく行うメリットとして次のように挙げています。
人づきあいがラクになる、疲れなくなる。
気楽に話が続けられる、サクッと仲良くなれる。
大事な取引先から、気に入られる、信頼される。
チャンスが次につながり、成果が生まれる。
引用:『超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が気づける』
仕事をする上で、会議前や別の場所へ誰かと移動する際、会話で時間を繋げる場面があります。その時必要になるものが『雑談』です。
冒頭で伝えた『伝達する会話』方法を『雑談』で行うと、すぐに会話が途切れてしまいます。そうなってしまうと次のような心境に陥ります。
- 話しが止まってしまった。次は何の話題にしようか
- 気まずい雰囲気になってしまった。どうしよう
- どうすればよいか考えすぎて疲れてしまった。
このような状況になると、相手との関係性が悪化する危険性や、必要以上に疲労感を感じる等、自分にとってデメリットになります。
雑談の基本ルールについて
それでは『雑談』をするにあたって、どのようなことを意識すればよいか。実は『雑談』の方法には、7つのルールがあります。
7つのルールについては次の通りです。
- 会話のラリーを続ける
- 気持ちのやり取りを重視する
- エピソードや経験談を話す
- 肯定して共感する
- 大きなリアクションで一緒に楽しむ
- 会話が途切れたら「自分に近い話題」へ引き戻す
- 程よいところで切り上げる
それぞれ順番に説明していきます。
①会話のラリーを続ける
仕事で会議や報告をする際、必要とされることは
- わかりやすく、手短話す
- 論理的思考を含め、説明する
このような伝え方を求められることが多いです。しかし『雑談』では逆効果です。理由は会話が途絶えてしまうためです。
『雑談』は面白い話、わかりやすい話といったものは全く求められていません。本当に必要なものは、他愛のない話を続けていく、結論の見えない話を語っていくことが必要とされます。
『雑談』できれいに結論をまとめ、会話を終了させれば、その後話すことがなくなり、気まずい雰囲気になる可能性もあるので注意です。
②気持ちのやり取りを重視する
『雑談』中、情報交換をすることはないでしょうか。
- 購入した製品はどこで買ったものか
- 旅行へ行った宿代はいくらだったか
実は、『雑談』のルール上、情報交換を行うことはNGです。理由として、情報交換が完結してしまうと、その後の会話が止まってしまうからです。
では、『雑談』に必要なものは何か。それは『気持ちのやり取り』をすることです。
上記の内容を気持ちのやり取りに変換すると、このようになります。
- 購入した製品の使い心地はどうか
- 旅行へ行ってみて、どんなところが良かったか
以上のように『情報』に視点を置くのではく、会話の中にある『感情』を重視して会話することが『雑談』に求められています。
③エピソードや経験談を話す
『雑談』のネタとして、時事ネタやニュースについて出す人がいますが、この内容は会話が続かないことが多いです。
- 円高になって、日本の商品が高くなるみたいです
- 台風が近づいてきてるみたいで、沖縄に大きな被害が出るみたいです
このような話を出すと「そうなんですね」「大変ですね」といった返しはありますが、後に続く言葉に詰まってしまいます。
相手が返しやすい会話をする方法として『体験したこと』『感じたこと』を話題に出すことです。
- 円高の影響かな。買い物に行ったら、野菜がすごく高くなって困った。
- 昨日台風が来て、家の窓がガタガタ揺れていたよ。割れるかも思ってヒヤヒヤした
上記では、感情を擬音を使って表現しています。この表現方法によって、相手に感情がより伝わり、会話を発展させやすくなります。
④肯定して共感する
仕事中、業務に関する会話をする際、間違ったことがあれば、事故に繋がらないよう迅速に修正する必要があります。
しかし、『雑談』に関しては多少間違いがあっても、修正する必要がありません。むしろ『雑談』は相手の気持ちや意見に対して否定してはいけません。
- 今日はとても暑いね。→そうでもないですよ。
- 昨日から始まったドラマはとても楽しかった。→私はつまらなかった。
相手が共感を求めるコメントに対し、否定的な返答をすれば、あまりいい気分にはなりません。多少自分の感じた気持ちに反していたとしても、相手に共感し、会話を充実させることが『雑談』は重要です。
⑤大きなリアクションで一緒に楽しむ
コミュニケーションには、相手の意見を『傾聴』することが重要であると耳にしたことがある方はいるのではないでしょうか。仕事の情報交換をする際『傾聴』は有効ですが『雑談』では逆効果の場合があります。
相手の話を『相槌する』『返事をする』ことで『あなたの話しを聞いているよ』と意思表示をし『傾聴』していくことで、会話を円滑に進めることができます。
しかし、『傾聴』を意識しすぎると聞き手は疲れてきてしまい『雑談』を苦痛に感じてしまいます。
『雑談』は会話が続けば、その時点で成功です。成功確率を上げるためにはどうすればよいか。方法として『大きなリアクションを取ること』が挙げられます。
- 手を叩きながら聞く
- 表情を大きく変化させる。
- 大きな声で笑う
以上のようなリアクションを会話の合間にとることで、相手は『話を聞いてくれている』と捉えてもらえ、聞き手側も大きな負担を感じにくくなります。
⑥会話が途切れたら「自分に近い話題」へ引き戻す
会話が続けば会話が途切れてしまうことも想定されます。会話を続けようと新たな話題を出す際、自分の身近な話題を出すことをおすすめします。
自分の身近なものから話をすることで、話題が広げやすく『雑談』が続けやすくなります。
前項で伝えた通り『時事ネタ』や『ニュース』の話題は、話しを継続することは難しくなるため、おすすめしません。
⑦程よいところで切り上げる
雑談は続けることが必要と伝えてきましたが、いずれは話を切り上げなければなりません。しかし、急に話を切り上げては相手に失礼ではないかと感じてしまうこともあります。
しかし、『雑談』は関係の構築が目的であって仕事や会議に大きく影響するものではありません。また、長すぎる『雑談』は時間の無駄遣いになる可能性もあります。これらの理由から、『雑談』は程よいところで切り上げることが妥当です。
そうは言っても、『雑談』を切り上げるやり方がわからないという方もいるかもしれません。そんな方へ『雑談』を切り上げる方法として次の方法があります。
- 徐々に雑談を盛り下げていく
- 「ありがとうございました」とお礼を伝えて終わらせる
『雑談』は相手の話しを身体や表情で表現しながら聞くことをおすすめしました。その表現を徐々に弱め、最後にお礼を伝えることで、『雑談』をよい形で終わらせやすくなります。
仕事の会話と雑談をうまく使い分けよう
『雑談』について詳細に説明しましたが、いかがでしたでしょうか。ビジネスで求められるコミュニケーションとは全く違ったものだったと感じた方が多くいるでしょう。
しかし、『雑談』は人間関係を構築する上で必要なスキルです。うまくスキルを身に付け、仕事等に生かしてもらえればうれしいです。
おわり。