書籍

【書籍】社員がやる気をなくしていく理由と解決策について

皆さんお仕事お疲れ様です。新年を迎え、徐々に正月休みの感覚から仕事モードに切り替わってきた時期ではないでしょうか。

今回のテーマは『社員のやる気をなくす理由』を焦点を当てて書いていきます。

皆さんは、どのような時に仕事に対するやる気をなくしてしまうでしょうか。

  • 同期が自分より早く昇進してしまった。
  • 上司に企画を提案したが、許可が下りなかった。
  • 後輩に指示をしたが、指示通り動いてくれなかった。

人によってやる気が下がってしまう理由に違いがあります。今回は『組織心理』から考える社員がやる気を失う理由とその解決策をまとめた書籍があるので、紹介も含め、特に重要と考えるものをピックアップしていきます。

書籍の紹介

紹介させてもらう書籍は『こうして社員は、やる気を失っていく リーダーのための「人が自ら動く組織心理」』です。著者は松岡保昌氏です。

著者 松岡保昌氏について
  • 株式会社モチベーションジャパン取締役社長
  • 心理面からアプローチする経営コンサルタント
  • 1963年生まれ。1986年同志社大学卒業後、リクルート入社
  • 『就職ジャーナル』『Works』の編集や組織人事コンサルトとして活躍
  • 2000年 ファーストリテイリング 執行役員人事総務部長
  • 2004年 ソフトバンク ブランド戦略室長
  • 福岡ソフトバンクホークス代表取締役
  • 国家資格1級キャリアコンサルティング技能士
  • キャリアコンサルティング協会認定スーパーバイザー

世の中で見かける書籍には、やる気をあげる方法やモチベーションについて書かれた内容が数多くあります。私もモチベーションに関する書籍を題材に記事を書いたことがありますので、載せさせてもらいます。

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今回題材にする書籍はその逆の発想で『社員がモチベーションを下げてしまう理由』について挙げられ、その対応策が書かれています。

社員がやる気をなくしていく上司

どの企業にも部下のやる気を削いでしまう上司はいます。書籍でいくつか問題になる行動や傾向、その解決策について挙げられていますが、その中から以下の内容をピックアップしました。

  1. 目を見て話さない。目を見て話せない
  2. コントロールできる部分を与えない
  3. 話を聞かず、結論を出さない
  4. 言うことに一貫性がない
  5. 失敗を部下のせいにする

順番に説明していきます。

目を見て話さない。目を見て話せない

パソコンを見ながらキーボードを打った状態で、目を合わせずに話を聞く人がいます。忙しいので、時間が作れず、作業しながら聞くことになったという捉え方もできます。しかし、上司にその行動をされてしまえば『ちゃんと話を聞いてもらえていない』と感じられ、やる気を失ってしまうことがあります。

また管理職には、部下が抵抗を感じる内容を伝えなければならない場面があります。伝えにくいという感情から、相手の目をそらしながら話をする、自信がないような話し方をされると、部下は今後上司を信用してよいか悩んでしまうことがあります。それによって感情がモチベーションの低下に結びつく可能性があります。

解決策 話を聴く姿勢作りを行う

パソコン業務をしながら話をすることは、される側からすると『大切にされていない』と感じてしまいます。相談があると部下からあれば、別の作業を終わらせてから時間を作り、向き合いながら話す時間を設けることが大切です。

また、聴き方も重要です。話しを遮ったり、急に自分の話しをしてしまうことはいけません。相手の話しを最後まで傾聴していくことが必要です。

途中で話を切ってしまえば『私の話を聴いてもらえない』と感じさせてしまいます。『あなたの話をしっかり聞いている』という姿勢をもつことで、部下のやる気が下がることを防ぎ、信頼関係も築かれていきます。

コントロールできる部分を与えない

部下に仕事を任せる際、細かく手順を説明するような指示を出す上司がいます。上司からすれば、部下がミスをしないように配慮する行動であることが多いです。しかし、部下からすれば、この行為がやる気をなくしてしまう原因に繋がってしまいます。

解決策 考えさせる機会を作る

この行動における解決策の根拠として『外発的動機付け』と『内発的動機付け』という言葉があります。

外発的動機付け』とは、金銭、名誉等の外部から与えられる報酬によって思考や行動が決められること。

内発的動機付け』は、内面から沸き起こる興味、関心から思考や行動が決められることを差します。

今回やる気をなくしてしまう原因に挙げられるのは『内発的動機付け』です。この動機付けに結びつける思考について、心理学者エドワード・L・デシ氏とリチャード・M・ライアン氏は『自己決定理論』という考え方があり、具体的にはこのように述べられています。

「人は生来、能力を発揮したい(有能感)、自分でやりたい(自律性)、人々と関係を持ちたい(関係性)という3つの心理的欲求が備わっている」

引用『こうして社員は、やる気を失っていく リーダーのための「人が自ら動く組織心理」』

この文章からやる気に繋がる『内発的動機付け』を考えるとすれば

  • その人が能力を発揮できる環境を作る
  • その人がやりたいと感じさせるものを見つける機会を設ける
  • 人と関係構築できる環境設定を作る

このような状況を確立していくことが必要です。このことから前述で挙げた上司がやる気を下げてしまう原因は『内発的動機付け』を作る機会損失をしてしまっていると捉えられます。

部下に仕事を任せる場合、ある程度の業務内容を伝え、後は信じて任せるというスタンスが重要です。

話を聞かず、結論を出さない

部下や後輩がミスをした場合、上司はどのような考え方をするでしょうか。以前に同じような業務を任せた際、ミスをしていれば『また同じミスをしたのだろう』と思い込む上司がいるのではないでしょうか。このやり方は、上司への信頼をなくし、やる気を失う原因となります。

解決策 相手の話しを聞き、事実を理解する

ミスをした状況や内容を他人から伝聞で知ることや、思い込みで判断してしまうことがあります。しかし、それは事実ではない可能性があり、その誤解によって信頼関係が崩れてしまう恐れがあります。

解決策は、ミスをした相手から直接状況を聴くことです。事実を把握することも重要ですが、ここでは直接相手の話しを聞く機会を作ることが大切です。過去の実績や誰かからの情報ではなく、その人の状況や心境を聞き取ることで、今後どのようにするか改善することも可能になり、また『上司は話を聴いてくれる』という信頼関係が構築し、仕事のモチベーションに繋がることができます。

言うことに一貫性がない。

上司によって、新しい何かを取り入れ、変化をもたらすことが良いと考える人がいます。確かに時代の変化に応じてすぐに行動に移した企業が、大きな発展をもたらしたケースが多く見られます。

しかし、変化を意識しすぎることで、周りが疲弊していき、やる気が下がっていきます。それを知った上司は『変化に弱い』『やる気がない』と判断してしまい、さらにやる気を削ぐ原因となる悪循環が生まれてしまいます。

解決策 具体的なシナリオを描く

目指すものが不明確で、時代の流れや新しい情報に振り回されながら、次々と新しいものを始めてしまうと『何をしているのかわからない』と感じる人が出てきてしまいます。その思考が働くことで、部下のやる気を下げている可能性があります。

その状況にならないよう『長期目標と短期目標』『緊急と重要』という視点で考えていきます。

『長期目標と短期目標』の考え方は、長期的にはどのようなシナリオで完成させるか。そのシナリオを描くために、どのようなことを実施するかという短期目標を作っていくことです。それぞれの目標を組み合わせたシナリオを作り出すことで、新しいものを始めたとしても、目標を失わず、完成に向けて動くことができ、やる気を失うリスクを減らすことができます。

『緊急と重要』とは、今やろうとしていることに『緊急性』はどのくらいあるか。この仕事にどれほどの『重要性』があるかと考えていきます。この二点をしっかり把握することで、本当にやるべき仕事かはっきり見え、やらなければならない理由を知ることができます。それにより、部下のやる気を減らすことを防ぐことができます。

失敗を部下のせいにする。

『私は指示したんですがね』『説明はしたんですがね

上司が上に報告をする際、部下には伝えたと責任放棄をする場面が見られることがあります。この行動は、部下にとって責任を押し付けられた気分になり、モチベーションが下がってしまいます。

また、何かミスが発覚した場面で、部下に怒り出す上司がいます。これも部下に責任を押し付けている行為に当たるので、部下のやる気を下げる原因になってしまします。

解決策 部下の責任は上司の責任と意識する

部下がミスをすれば、責任を部下に押し付ける上司がいますが、その行動自体間違いです。部下がミスをすれば、それを管理をする上司の責任でもあります。上司は部下がミスをしないようなプロセスを組み立て、必要に応じて支援すること重要です。その仮定を積むことで、部下が成長し、それが組織全体の成長つなげ、部下のやる気も向上します。

また、部下に注意する方法も重要です。感情に任せて『怒る』のではなく、何が悪かったのかと根拠を持って説明しながら『叱る』ことが重要です。感情をぶつけるだけでは、今後部下からの信頼ややる気を損ねる場合があるので、注意しましょう。

自身の行動を改めていこう

今回は、社員のやる気を下げない方法についてまとめていきました。やる気を挙げる方法として、給与の見直しや福利厚生の改善を行い、やる気を向上させる企業は多数あります。しかし、やる気を下げない方法に焦点を当てた解決策を考える企業は少ないのではないでしょうか。

上記の具体例や解決策を参考に、社員がやる気をもって業務ができる体制作りができればうれしいです。

おわり。